男性型脱毛症(AGA)の徹底解説【2025年最新版】
Contents
1. 男性型脱毛症とは?
男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia, AGA)は、成人男性に最も多く見られる進行性の脱毛症です。思春期以降、前頭部や頭頂部の毛髪が徐々に細く短くなり、やがて地肌が目立つようになります。日本では成人男性の約30%がAGAを発症するとされ、40代では約40%、50代以降では半数以上に及びます。
AGAの最大の特徴は進行型であることです。放置すると症状が少しずつ進み、毛包の縮小が不可逆的になり、治療が難しくなります。
2. 原因と発症メカニズム
2-1. ホルモンの影響(DHT)
AGAは**男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン(DHT)」**が主因とされています。DHTは、テストステロンが5α-リダクターゼ(5α-reductase)という酵素によって変換されて生成されます。
DHTは前立腺や皮脂腺の発達には重要ですが、頭皮(特に前頭部・頭頂部)の毛包に作用すると毛母細胞の活動を抑制し、毛周期の成長期を短縮させます。その結果、髪は十分に成長せず、細く短い「軟毛」になっていきます。
2-2. 遺伝的要因
AGAは遺伝性が強く、父方または母方に薄毛の家系がある場合、発症リスクが高まります。特に母方からの影響が強いとされますが、複数の遺伝子が関与しており単純な遺伝ではありません。
2-3. その他の影響因子
- 加齢によるホルモンバランス変化
- ストレスによる自律神経・ホルモンの乱れ
- 栄養不足(タンパク質、鉄、亜鉛など)
- 頭皮環境の悪化(皮脂過剰、炎症)
3. 症状と進行パターン
AGAは進行パターンがある程度決まっており、日本皮膚科学会は以下の分類(ハミルトン・ノーウッド分類)を基準としています。
- M型:こめかみ部分から後退(額の生え際が「M字型」に)
- O型:頭頂部のつむじ周囲から薄くなる
- U型:M型とO型が進行し、前頭部から後頭部にかけて髪が薄くなる
初期は抜け毛の増加よりも「髪が細くなった」「ボリュームが減った」などの変化が先に現れることが多いです。
4. 診断方法
AGAは主に以下の方法で診断されます。
- 問診:家族歴、発症時期、生活習慣の確認
- 視診:頭皮の状態、脱毛部位・パターン
- マイクロスコープ検査:毛髪の太さ・密度を確認
- 血液検査:他の脱毛症(甲状腺疾患、貧血など)除外目的
5. 治療法
5-1. 内服薬
フィナステリド(Finasteride)
- 作用機序:5α-リダクターゼII型を阻害し、DHT産生を抑制
- 効果:進行抑制と一部発毛促進
- 副作用:性欲減退、勃起不全、肝機能障害
デュタステリド(Dutasteride)
- 作用機序:5α-リダクターゼI型・II型の両方を阻害
- 効果:フィナステリドより強力なDHT抑制
- 副作用:フィナステリドと同様だが発現率はやや高め
5-2. 外用薬
ミノキシジル(Minoxidil)
- 作用機序:毛包の血流改善、成長期延長
- 使用方法:1日2回、頭皮に塗布
- 副作用:頭皮かぶれ、痒み、まれに体毛増加
5-3. 注入療法(メソセラピー)
- 成長因子(EGF、FGF)やミノキシジルを頭皮に直接注入
- 効果は個人差あり、数か月ごとの継続が必要
5-4. 自毛植毛
- 後頭部の毛包を採取し、薄毛部に移植
- 生着すれば半永久的に維持可能
- 費用が高額(100万円以上の場合も)
6. 治療の選び方と注意点
- 初期〜中期:内服薬+外用薬の併用が基本
- 進行期:薬での維持が難しい場合は植毛やかつらも検討
- 注意点:効果が出るまで3〜6か月以上、継続中止で再び進行
7. サプリメント・生活習慣によるサポート
7-1. 栄養素
- 亜鉛:毛髪の主成分ケラチン合成に必要
- 鉄分:貧血予防、酸素供給
- ビオチン(ビタミンB7):代謝と毛髪の健康維持
7-2. 生活習慣改善
- 睡眠を十分にとり、成長ホルモン分泌を促す
- ストレスマネジメント
- 頭皮の清潔保持(過度な洗髪やシャンプーの刺激に注意)
8. 予防と早期対策の重要性
AGAは早期発見・早期治療が効果を左右します。初期の段階で治療を始めれば、毛包の機能が残っているため回復の可能性が高まります。
9. 最新研究と今後の展望
- JAK阻害薬:円形脱毛症での実績をAGAに応用する研究
- 幹細胞培養上清:再生医療技術による毛包再生
- 遺伝子治療:DHT感受性を下げる遺伝子改変
まとめ
男性型脱毛症は多くの男性が直面する進行性の疾患ですが、現在は効果的な治療薬と技術が確立されてきています。大切なのは、
- 早期に気づくこと
- 正しい診断と治療
- 生活習慣の改善と継続
これらを組み合わせることで、進行を止め、見た目と自信を取り戻すことが可能です。