女性のびまん性脱毛症と男性型脱毛症の違いと効果的な医薬品



はじめに:「抜け毛=AGA」とは限らない

近年、男女問わず薄毛に悩む人が増えています。

しかし、男性と女性の薄毛の原因はまったく異なる場合が多く、治療法も異なります。

「抜け毛が増えてきたからAGAかも…」と思っていたら、実は女性特有のびまん性脱毛症だった、というケースは非常に多く、自己判断での治療薬選びは逆効果になることも。

この記事では、

  • 女性のびまん性脱毛症と男性型脱毛症の違い
  • 原因・症状・進行パターン
  • 性別ごとの効果的な医薬品
  • 治療の考え方

について詳しく解説していきます。


びまん性脱毛症とAGAの違いとは?

🔹 びまん性脱毛症とは(女性に多い)

「びまん(=拡がる)」という言葉通り、頭部全体が均等に薄くなる脱毛症です。

特に女性に多く、髪のボリュームダウン・分け目の目立ちが初期症状です。


特徴まとめ:

  • 頭頂部・前頭部を中心に全体が薄くなる
  • 額の生え際は保たれる
  • 髪が細くなり、ボリュームがなくなる
  • ホルモンバランスや栄養不足、ストレスなどが原因
  • 脱毛範囲に明確な境界がない

🔹 AGA(男性型脱毛症)とは

AGA(Androgenetic Alopecia)は、男性ホルモン(DHT:ジヒドロテストステロン)が毛根に作用し、特定部位の毛が徐々に細くなり、やがて生えなくなる脱毛症です。


特徴まとめ:

  • 前頭部の生え際・頭頂部から進行する(M字+O字型)
  • 側頭部・後頭部の毛は残る
  • DHTの影響が主因(遺伝的要素が強い)
  • 進行型(放置するとどんどん進む)
  • 20代から始まることも多い

症状の比較表

比較項目びまん性脱毛症(女性)AGA(男性型脱毛症)
脱毛の範囲頭部全体に広がる生え際・頭頂部中心に進行
初期症状髪のボリューム減少・細毛M字・O字の薄毛が目立つ
原因ホルモンバランス、ストレス、加齢DHT(男性ホルモン)+遺伝
進行の仕方徐々に全体的に特定部位から進行(地図状)
治療薬の選択栄養補給・ホルモンバランス調整DHT抑制が中心

女性のびまん性脱毛症に効果的な医薬品

① パントガール(Pantogar)

  • 内服タイプの女性用育毛医薬品
  • 有効成分:パントテン酸、ケラチン、シスチン、ビタミンB群など
  • 毛母細胞を活性化し、全体の発毛・太毛化を促進
  • 3〜6ヶ月の継続で効果が現れるケース多数

👉 女性に対して安全性が高く、初期治療薬として人気。


② ミノキシジル(女性用:2%)

  • 血流改善により、毛根への栄養供給を促す外用薬
  • 発毛効果は非常に高い(特に軽〜中等度)
  • 日本では「リアップリジェンヌ」「カークランド」などが有名

👉 副作用(かぶれ・動悸)には注意が必要。必ず女性用濃度を使用。


③ 加味逍遥散(漢方)

  • ストレス由来のホルモン乱れによるびまん性脱毛に効果的
  • 血行促進・自律神経安定作用あり
  • PMSや更年期の悩みにも対応

👉 西洋薬に抵抗がある人に人気の代替療法。


男性のAGAに効果的な医薬品

① フィナステリド(プロペシア)

  • DHT(薄毛の原因物質)を生成する5α還元酵素を阻害
  • AGA治療の中心薬(進行を止める効果が高い)
  • 1日1回の内服、半年以上継続が基本

② デュタステリド(ザガーロ)

  • フィナステリドの進化版。より広範囲のDHT抑制
  • 前頭部〜頭頂部に強力な効果
  • 副作用(性欲減退・EDなど)に注意

👉 30代〜40代の進行型AGAに多く使われる。


③ ミノキシジル(男性用:5〜15%)

  • 外用 or 内服(個人輸入のみ)
  • 発毛効果が強く、フィナステリドとの併用が王道
  • 動悸やむくみなど副作用に注意

【注意】女性がAGA治療薬を使うのはNG!

  • フィナステリドやデュタステリドは女性禁忌
  • 特に妊娠中の接触・服用は胎児の発育に影響を与える可能性
  • ミノキシジルも女性用濃度(2%)のみ使用可

👉 「男女兼用」と書かれている育毛剤でも、成分表示を必ず確認すること。


医薬品の選び方と使用時の注意点

女性に向いている薬の条件

  • 全体的な薄毛への効果
  • ホルモンバランスの安定
  • 副作用が少ないこと

男性に向いている薬の条件

  • 生え際や頭頂部に強い発毛効果
  • DHTを抑制できる成分
  • 発毛スピードが早いこと

医師の診断を受けるのがベスト

薄毛の原因は多岐にわたるため、自己判断は危険です。

皮膚科や薄毛専門クリニックでの診断により、最適な治療薬・治療計画を立てることが重要です。


自宅で医薬品を使う場合の注意点

  • 個人輸入サイトは正規品保証のあるものを使う(例:サプリ館・エイビス薬局)
  • 服用開始前に体調チェック(特にホルモン異常・持病)
  • 効果が出るまで最低3ヶ月は継続
  • 途中でやめると「リバウンド脱毛」の可能性も

よくある質問(FAQ)

Q. AGAかびまん性脱毛症か、自分では判断できますか?

→ 難しいです。生え際が下がるならAGAの可能性が高いですが、医師の診断が確実です。


Q. パントガールとミノキシジルは併用できますか?

→ はい、併用することで相乗効果が期待できます。

ただし、初めは単独使用で様子を見るのが安全です。


Q. 薄毛が進行しすぎたらもう治らない?

→ 状況によりますが、毛根が死んでいなければ回復の可能性あり

そのため、早期治療開始が最も重要です。


まとめ|男女で違うからこそ「自分に合った治療」を

項目女性(びまん性脱毛症)男性(AGA)
原因ホルモン・栄養・ストレスDHT(男性ホルモン)
パントガール、ミノキシジル(2%)フィナステリド、デュタステリド
特徴髪全体が薄くなる前頭部・頭頂部から進行
対応栄養補給・血流改善・体質改善ホルモン抑制+発毛促進

男女の薄毛は「原因」も「進行の仕方」も異なるため、治療法も完全に違います。

間違った薬を使うと、効果が出ないどころか副作用や悪化の原因になってしまうことも。

「薄毛が気になる」と思った時が、治療のスタートラインです。

まずは正しい知識を持ち、自分に合った治療法を見極めることが大切です。